24時間ジムプロデュース

24時間ジムプロデュース
圧倒的に勝てる! そのノウハウを比較ください。

2022年8月30日火曜日

総合フィットネスクラブの今取り組む課題はコレだ!

 新型コロナ前の会員数に戻らない。キャンペーンをしても反応が悪い。

最近では増えない会員数を補うために、会費外収入を増やして経営を安定させようと舵を切るクラブも多い。でも現実は目論んだ成功には程遠く、今後の対応に不安を感じているクラブも多いはずです。変革期を迎えた総合クラブは今何を取り組めば良いのか?取り巻く環境を見直しつつ考えていきたいと思います。

増え続ける24時間セルフジム
会員が集客できない原因の1つが増え続ける24時間ジムの存在です。
既に24時間ジムも出店すれば容易に集客できる時代では無くなりましたが、出店の勢いが落ちないのは事業再構築補助金の存在も大きい。当社クライアントの多くが事業再構築補助金を活用しての出店です。会費3,000円程度の格安24時間ジムの爆増や、200坪を超えるスタジオ付き大型24時間ジムが増えたのも頷けます。結果、既存総合クラブは優位性をますます失ってきています。

席巻するマシンピラティススタジオ
急激に店舗数が増えているのがマシンピラティススタジオ。以前のホットヨガスタジオを超えるパワーを感じます。シャワーを必要としないピラティススタジオは投資金額も小さく、単価も値崩れしていないので魅力的なコンテンツです。人材育成には手がかかりますが、これから1年大ブームになることは確実です。

まだまだ頑張るパーソナルジム
小スペースで開業できるパーソナルジムの出店も続いています。少しリーズナブルなパーソナルジム、セミパーソナルジムとバリエーションは増えてきていますが、どう見ても飽和状態で、今後を考えると一部のインフルエンサージムか、チェーン店ジムなど発信力の大きなジムしか残りそうも無いと予想できます。

総合クラブの問題点
施設で勝る総合クラブが苦しい戦いを強いられている。その原因はスタッフ体制にあると考えます。打ち出す企画は正しいが、空回りして成果に繋がらない。その原因を考えていきます。
総合クラブスタッフの特徴。ジム・スタジオ・プール指導を掛け持ちしている。
早番例>ジムでマシン指導やミニレッスン、スタジオでプレコリオレッスン、スイミングスクールのコーチ。
遅番例>スイミングスクールのコーチ、ジムでマシン指導やミニレッスン、スタジオでプレコリオレッスン。
専門性が高いスタッフより、汎用性のあるスタッフを求めていった結果、全てが中途半端なレベルになってしまった。
初期の頃はフィットネスチーム、スイミングスタッフチームと完全に分けられていました。
フィットネスチームにはジム担当とスタジオ担当に別れ、それぞれがプライドを持って動いていました。それがバブル崩壊、リーマンショックを経た頃には、聖域である人件費にメスが入り、個性的なジムスタッフは排除され、カリスマ性のあるフリーインストラクターも減らされ、スタッフは専門性を求められるのではなく、全てをこなせる人材が望まれる今の環境が出来上がったのです。特に影響を受けたと感じるのは、アクアビクスインストラクターの絶滅とフリーインストラクターの激減です。スタジオの現状を見てください。中高年インストラクターが中高年にレッスンしていませんか?若いインストラクターはプレコリオを担当する社員スタッフを除けば見かけません。スタジオ参加者から若者が減り、同時に憧れを持ちインストラクターで働きたいという若者が減ったのです。総合クラブの圧倒的なアドバンテージになるはずのプール、スタジオが武器になっていない原因は運営側にあるのです。

会費外収入が伸びない?
会員数が集まらないなら客単価アップを!方向性は間違いではありませんが、前述で指摘したようにスタッフ能力が足りずに成果が上がっていないクラブが多く見られます。
<パーソナル>
「パーソナルジムはマンションの一室で、ちょっとしたバーベルとラックだけで売り上げを上げているのだから自分達も出来るだろ!」と、オーナーが会議で叫んでいる様が目に浮かびます。確かにマシンの充実度は総合クラブが圧勝なのに、なぜパーソナル売上が上がらないのか?理由は2つあります。1つは人材。スタッフはトレーニングの専門家?いや現状は何でも屋です。トレーニングに思い入れも無く、日頃から自身でプログラムを組んで、目的を持って運動している方は非常に少ない。なので、セールストークも薄っぺらで、売上を上げても給与に反映しないので頑張るモチベーションも上がらない。虚しく募集パネルが埃を被る状態になるのです。もう1つは会員。そもそもパーソナルを受けたい方は専門のパーソナルジムを検索して行く。現在在籍している会員はパーソナルへのニーズがそもそも無いので、パーソナルを販売するのは至難の業。特に既存会員はスタッフレベルも知っているので難しい。
<スタジオプログラム有料>
日に数レッスン参加するマニア会員はどのクラブにも存在します。1レッスンごとの参加料方式なら優良会員と評価されるでしょうが、クラブ側からすると困った存在でもあります。連続受講問題と会費外売上アップを兼ねる対策として、レッスン課金方式を導入するクラブが増えています。初心者プログラムは会費の枠内、中上級レッスンは課金など。戦略としては正しいのですが、今まで会費内で受講できていたレッスンが、課金方式に変わるだけでは会員は不満しかありません。
会費外収入を増やすために取り組むこと
<準備編>
エリア専属スタッフ制に改革。ジムで働きたいという方は、プール指導やスタジオプログラムも担当させられる総合クラブは敬遠するのです。結果、パーソナルジムや24時間ジムへ就職することになるのです。総合クラブの求人反応が悪い原因はそこにあります。
スタジオインストラクターも同様です。ヨガ・ピラティススタジオで働く方は多いが、総合クラブへは興味を示しません。プールなどで子供の指導も入る・・・就職しません。

ジム専属スタッフ>ミニレッスンとパーソナルトレーニング指導
ジム内で行う各種ミニレッスンとパーソナルトレーニングに業務を集中。
スタジオ専属スタッフ>ヨガ・ピラティス・プレコリオ指導、ジムサポート
ヨガ・ピラティスインストラクターを採用して核となるレッスンを固める。ジムフロントサポートも行う。
プール専属スタッフ>スイミングスクールを実施していないクラブは必要ない。
※スイミングスクールを実施していないクラブはプールを潰し、ジム・スタジオエリアとしてリニューアルすることがお勧めです。改装予算3,000万程度です。
<実践編>
ジム>初心者サポートは全てミニレッスンや講座にし、スタジオ同様に時間割にする。参加予約はWeb活用。それ以外はパーソナル、セミパーソナルに集中させる。クラブも低価格パーソナルを売りにHPを切り分けパーソナル専門店と同様のPR手法を行う。
スタジオ>社員はヨガ・ピラティスを基本に指導。Bスタジオなどがある場合は、マシンピラティススタジオへとリニューアルして有料課金方式を導入。社員対応外のレッスンに関してはフリーインストラクターを採用。基本契約フィーを決め、本人希望の課金額を決めていただく。課金売上によりフィー還元をする
(例:基本フィー3,500円 課金額500円、20名参加=売上10,000円 売上10,000円-基本フィー3,500円=歩合対象6,500円。80%還元で5,200円+基本フィー3,500円=8,700円)
稼げる環境を用意することで、良いインストラクターが集まる。スタジオ専用HPを作成して、インストラクターそれぞれの活動ブログやSNSを連動することでPRの場も用意をする。レッスンプログラムが課金ばかりになるのでは?そんな不安もあるでしょうが、30分初心者クラスは撒き餌として課金しないなどバランスは取れていきます。
実力によって魅力的なフィーを稼げる夢のある職業にしていかなければ、結果クラブも衰退します。

まとめ
今号では当社が奨める総合クラブ再生コンサルティングの一部を紹介しました。ディスカウントスーパー路線を進むのか?ここで専門店が集まる百貨店へと路線を定めるのか?各社悩んでいると思いますが、参考にしていただければ幸いです。

サクラフィットネス松戸常盤平店に学ぶ

 前回は、会費外売り上げをアップするためにセールス力を磨きましょうと記事にしました。今号では実際に成果を出している成功クラブを紹介します。

Ø 紹介クラブ
店舗名:サクラフィットネス
所在地:千葉県松戸市の西友常盤平店
開業日:2019年3月
規模:200坪
代表:長谷川さくら(32歳時開業)
初月で700名を達成し黒字スタート。2ヶ月目にはパーソナルトレーニングチケット330万円販売達成。コロナ禍においてもパーソナルトレーニング、エステ、物販などの会費外売上で年間2500万円を達成して黒字決算を維持。現在では入会者の70%がパーソナルチケットを購入するクラブへと成長。

Ø 長谷川さくら氏からの寄稿記事
まず前提として、弊社はお客様に対して強引なセールスをしません。もちろんノルマなどは存在せず、インセンティブ制度もありません。社員たちに売上をあげてほしいと伝えたことはなく、利益という“結果”よりも、お客さまに本当に必要な情報や商品を提供するという“プロセス”を何よりも重視するよう、日々指導しています。見学に来られたお客さまに対しヒアリングを行った結果、近隣の競合ジムの方がその方のライフスタイルに合うと考えれば、そちらを薦めることも少なくありません。いわば日頃から、“馬鹿正直で素直な接客”をすることで会員様からも信頼感が生まれ、いざという時にお勧めされるものは、本当に良いものなのだと自然と購入につながっています。
先日、オープン3周年記念で販売したTシャツもすぐに200枚以上の注文が入り、会員さまへの感謝の気持ちと同時に、信頼関係がしっかりと築けている従業員たちを心から誇りに思いました。
Ø 成功の秘訣はマルチスタッフ
多くのクラブがアルバイトで雇用するスタッフを、全スタッフ有資格トレーナーを配置することで、常にトレーナーから指導を受けられる環境を整えました。アルバイト雇用ではどうしても時間を潰すことが優先的になってしまうため、全員正社員として雇用することで全体的な接客レベルを上げています。更に入会受付から退会受付までトレーナー全員で対応できるよう教育しました。見学対応や入会受付時に、入会の経緯や不安なこと、達成したいこと、身体の悩みなどをトレーナー目線でヒアリングし、“その場で迅速に”不安を解消することで信頼関係が生まれやすくなりました。一番モチベーションが高い入会時に、そういった丁寧な対応ができることでパーソナルトレーニング回数券を一緒に購入してくださる新規入会者は70%以上です。なぜパーソナルトレーニングを受けることが大切なのかをトレーナーから説明を受けることに関して、それをセールス(=売りつけられる)と感じるお客様は少ないはずです。それは退会時も同様で、トレーナーとしてケアができることで退会を思い留まる会員様も多い。
Ø トレーナー育成のポイント
店内では、必ずトレーナー1人以上が巡回し、安全確認や清掃をしながら手持ち無沙汰になりそうな初心者や女性の会員様に目を光らせ、退会理由になる一番の原因である、『何をしたらよいのかわからない』という状況を作らないことに専念してもらいます。徹底した掃除や物品の整理整頓、笑顔や挨拶など当たり前のようで意外と出来ていないクラブが多いため、簡単に差別化が図れます。新人スタッフには、言葉遣いや話し声のトーン。気配り、目配り。歩き方や電話対応など、ありとあらゆるサービス面において、トレーナーに必要なスキルであることを前提に徹底的に叩き込んでいきます。
Ø パーソナル販売のポイント
人として信頼されなければ、トレーナーとして信頼されることはない。トレーナーとして信頼されなければ、いくらすすめてもモノは売れない。この人が言うなら間違いない!と思わせる人間性を身につけることが最も重要。サクラフィットネスではパーソナルトレーニングの料金を10回45分38,500円と、相場の半額以下に設定しています。低価格に設定することで、今まで高額で手が届かないと諦めていたお客様にもチャレンジできるようにしました。継続しやすい価格なので生活習慣になり結果的に退会率も下がりました。更にパーソナルトレーニング受講後のリバウンド予防やフォーム確認のために、パーソナル付き会員プランを用意することで、退会を抑止しコミュニケーションが取れる時間をなるべく絶やさないようにしています。
Ø 安定経営のポイント
どんなに良いメニューを提供しても、それを継続できる人は滅多にいません。大抵の人が飽きてやめてしまうので、マンネリ化を防ぐため、新しい情報を提供し続けることで来店のモチベーションを上げるきっかけ作りを大切にしています。特に女性は、黙々とトレーニングすること自体が好きでない方が大半のため、適度な声掛けや励ましが重要です。来店していただいたら必ず一度はお名前を呼び、トレーニングに対しての悩み事や私生活での話をすることでジムに足を運ぶことを“努力”から“気晴らし”のイメージに変えてもらいます。このように、利益そのものよりもお客さま目線を大切にしたサービス、それを確実に提供するための人材育成に力を入れた結果、安定した経営につながっていると考えます。現在、AIフィットネスやオンラインレッスンなど、対人ではない非接触分野が勢力を拡大していますが、結局のところ最後に必要とされるのは人の“温かさ”であり、“真心”だと考えています。今回の新型コロナウイルスという長く、大きなピンチも黒字で乗り切れたことで、私達の考え方は正しいと確信できました。

Ø まとめ
年間2500万円の会費外売上を実現しているクラブオーナーの話はいかがでしたか?社員トレーナーを雇用して教育することでパーソナル売上をアップさせる。結果、次々と入る予約をこなすためにスタッフを増員・・・このプラスの循環で、現在では200坪のフットネスジムで社員9名が忙しく働くクラブへと成長しました。私が新規クライアントを見学に連れて行くと、いつもみんな忙しそうに顧客カルテを手にしながらパーソナル指導をしている姿を目にします。パーソナルトレーニングを望む方は何も特別な方ではありません。これだけクラブ数が増えた今でも、入会者の多くは未経験者か不安を感じている方が大半です。プラス5万円程度の出費で、最初の3ヶ月間パーソナルトレーナーが付いてサポートしてくれる安心感は相当でしょう。会員はクラブへ愛着を持ちマイクラブ意識が芽生えます。
低価格型・セルフ型・AI型・YouTuber型・・様々なクラブが日々生まれていますが、トレーナー出身の私はサクラフィットネスを理想型としています。今後は再生のために悩んでいるクラブのインターン先としても活躍いただくつもりです。